2012年10月5日~11日
活動地域:ジャワ島、ジョグジャカルタ特別州
「真に必要とされる、社会貢献活動の芽生え」
今回、ジョグジャカルタ特別州のIKAMAJAメンバーの家を訪問し、農民の現状をヒアリングした。
我々(ASMELINDO/JASMELINDO)は、今まで、農民に対する、作物生産、加工方法・品質管理のトレーニング支援を行い、一定の成果を上げてきた。
しかし、今回、彼らと膝をつめて話し合った結果、大きな問題点を内包していることに気がついたので、今回レポートすることにした。
以下、例示をあげて、開設することにする。
「大手企業との取引・・・採算性の課題」
ジョグジャのスダルシ夫婦、夫は公務員兼農業、妻は、ジョグジャから車で3時間の田舎で、
メロン・玉ねぎ・黒豆の栽培を農民に指導するトレーニングセンターを経営。卒業生の生産する作物を大手企業と交渉して納入し、教え子の生産者達の生活を支えている。
彼女(妻)のトレーニングセンターの経営状況を聞いたところ、大手企業のユニリーバ社に納入しているという。さぞかし、上手く言っているのかと思いきや・・・どうも様子がおかしい・・・・
2時間ほどのヒアリングで、ようやくその原因が判明。
彼女のユニリーバへの納品は、黒豆、1回当り20トン。しかし粗利益は・・・なんと2%。
「それでも量が多いから良いのだという???」・・・・本当か?
ユニリーバの支払いを尋ねると、支払い条件は、前金で60%、納入後40%を支払うシステム。
・・・・ということは、40%の支払いが、終わるまでの間、収集した黒豆の代金を、彼女が生産者達に支払ってやらねばならない。その点聞いてみたところ、「300万円の運転資金を銀行から借りている」という。そして、その金利を聞いて驚いた、なんと「金利18%也!」。日本で言えばサラ金の金利ではないか!?「自分の土地も銀行の担保になってしまった」・・と彼女は肩を落とす。
その後、いろいろ調べてみると、これは、農民の中に金を借りること、返済することに対する責任感が薄いことも事実のようだ。
銀行側から見れば、ある程度のリスクを織り込んだリーゾナブルな金利だといったところかもしれない。しかし、いくらなんでも、2%の利益で、18%の運転資金を借りたら、利益など出るわけが無いではないか!!!
(しかも、彼女は、自分自身が儲かっているかどうかも良く分からないのだという?!)
更に聞くと「メロンは利益が出ているのよ!」と彼女・・・・しかし、その原価計算、経理処理を聞いてみて、我々は今回直面した農民問題の中枢を目の当たりにすることになる。
「農民に経理の知識が無い」
農業といっても、経費は、必ずかかるもの。販売額から肥料やその他の費用を差し引いて初めて
儲かっているかどうかがハッキリするものだ。しかし、彼女達の利益の有無は、あくまで感覚的なものでしかないことが、今回ハッキリした。
「我々が支援するべきことの本質」
今回のヒヤリングで、ASMELINDOが、支援しなければならないことが、ハッキリしてきたように思う。数多くの政府系・民間系の支援団体の多くは、低所得の農民などに資金援助などを通じて社会貢献を行ってはいるが、彼らが自立するのに必要な、本当の支援を行っている団体は少ない。
つまり、自立するには、少なくとも、自分の行っている事業が、利益を生んでいるのか否かを、しっかり把握できるように、教育・指導・そして再教育していかねば、援助の資金自体も、有効に使われたか否かが、確認できず(無為の内に)に終わってしまうのではないだろうか?
我々ASMELINDO・JASMELINDOは、我々の指導でトレーニングを受けた農民の生産物を国際市場を自ら開拓して安定的に販売することに協力し、農民が安定して生産・収入を得ることが出来るシステムを永続的に維持することを目的としてきたが、そこには「農業経営者として自立できるための会計教育」が不可欠であり、自分の足元をしっかりと確認してもらいながら、自立が次世代まで永続するために重要な課題であることを、ハッキリと認識した次第である。
そうすれば、彼らも、無駄に木々を伐採することも無くなり、元来自然を愛する彼らは、むしろアグロフォレストリー思想を誰よりも理解して「樹を植える」農業者に変身して行くことだろう。
今後、ASMELINDO・JASMELINDOは、この「農業従事者への会計指導」を最重要な社会貢献活動の中心と位置づけて活動していきたい。
|